Tuesday, August 8, 2023

1985 Worlds Car project: GIl Losi Jr.'s 834B

Perfect Replica of 1985 Worlds Car

11年前の投稿ではいつかは作りたいなんて書いてましたが、ついに実現しました!夢の1985世界戦優勝車の完全レプリカプロジェクトです。ちなみにドッグファイターは2018年、RC10は2021年に製作完了しています。というわけでまずはモディファイドクラス優勝車、ギルロッシJrの834Bの方からご紹介します。

L:Original R:Replica

使っているパーツは90%以上オリジナルと同じはずなので、かなり近いものになっていることがわかるかと思います。メインシャシーはコンポジットクラフト(D&Dグラファイト)のもので、中古品です。実は20年ほど前にこのシャシーを手に入れた時から、このプロジェクトに使おうと思って取っておいたものなのです。というのも、ギルJrはシャシーの端の方を路面との干渉を防ぐために削っていたのですが、その加工がこのシャシープレートにはすでに施されており、バッテリーも直置きしてタイラップで固定した痕跡があったため、恐らくJrとディベロップを行っていたRPS周りの誰かが使用していたものと思われ、この計画にはうってつけだと思ったからです。

フロント&リアショックはともにデルタの1/10用のブリーダーバルブ付きの初期型、フロントはショートタイプです。ただ僕の持っていたショートショックではピストンシャフトが短すぎたため、eBayにたまにデルタのパーツを出品しているデルタ創業者ビル・キャンベルの息子さんに連絡を取って、ミドルタイプのシャフトを譲ってもらい、ことなきを得ました。このレプリカを作ろうとすると、恐らくショックの入手が一番困難でしょう。デルタの初期型は非常に数が少ないです。スプリングはフロントはジャンクで持っていたものの中にまったく同じ巻数&巻き方向のものがあったのでそれを採用しましたが詳細は不明です。恐らくRCHかな?アジャスターはデルタ純正に軽め穴を施工(これが意外と難しい)し逆さに取り付け、ブリーダーバルブのシールはつけずにネジ直留めしています(シールをつけるとこの位置にアジャスターがつかないのです)。バネレートについてはかなり繊細にセッティングしていたようですね。


またフロントショックのピボットにはボールベアリングを仕込んであります。ワンダードッグファイターに採用された金色のショックはピボットにF63ベアリングを仕込めるようになっていましたが、それはJr車のフロントショックにベアリングが使われていたからなんですね。フロントショックブラケットはコンポジットクラフトのジャンクシャシー(1/8インチ厚)からカット。形状はCRPのものを参考にしていますが、オリジナルに忠実に荒っぽい仕上げにするのに気を使いました。Jrは以前CRPのブラケットを使っていたのに何故このブラケットをわざわざ作ったのだろうと思っていましたが、デルタのショックのケース側ピボットにうまく仕込めるベアリングのサイズ(FR133ZZ)の関係で、マウントビスが2-56になってしまうからなんですね。あらかじめ4-40サイズの穴が開けてあるブラケットではガタが出てしまうからでしょう。当時雑誌を見てなんでこんな細いネジを使ってるのだろう、と思った疑問も同時に解決。本当に芸が細かいです。ロアサスアームはホットトリックのブラックアルマイトのものです。当時のホットトリックの広告でギルロッシJrがうちのパーツ使って優勝したよって宣伝してるのでこれも間違い無いと思います。


リアのバネはドッグファイターのキット純正のバネが同じもののようだったのでそれを使いました。アジャスターはアソシのものを使っています。ロールバー側のマウントはデルタ・スーパーフェイザーのショックマウントです。このパーツ、単体で手に入れるのが意外と難しく時間がかかりました。サスアームにはおなじみの補強板を取り付けましたが、コンポジットクラフトのこんなに薄い板を手に入れるのは不可能なので、残念ながらブラックFRPです。取り付けは2-56キャップビスで。834Bのリアサスアームの溝に2-56ネジがぴったり食い込むんです。


バッテリーはトリニティから発売されていた7セルのマッチドです。もちろん今となっては使えないと思いますが…。トリニティのマッチド特有の識別記号があることも個人的には重要だったポイントです。メカ類もすべて同じもので、サーボはサンワのスタントBB-HS、ESCはノバックNESC-1の第2世代(2ボリューム、①ステッカーつき)です。受信機はサンワの日本仕様の40Mhzですね。アメリカでは認可されてないはずですが大胆です。妨害電波対策でしょうか。さすが主催者の倅ですね(笑)ちなみにこのBバンドのクリスタルを手に入れるためだけに、ヤフオクでプロポ一式(エクセレンス)を落札しました。色々大変です。あと最後まで謎だったのがボディマウントで、てっきりスコーピオンのものだと思っていたのですが、よく見ると違うんです。結局手持ちのジャンク品の中から近いものを選び、カットして取り付けました。でも多分違うパーツです。


さてメカ的に一番ポイントとなるのがモーターです。当時の日本の雑誌ではヨコモの意向でモーターを搭載した写真は掲載されませんでしたが、IFMAR1985でトリニティが供給したモーターはすべて京商ルマン240Sベースでした。これは当時ジーン・ハスティングが撮影した写真でも確認することができます。(もっともレース直後にモーターは取り外されてチェックを受けるので、優勝が決まったあとでモーターつきの写真を撮るのは困難だったわけですが…。)


というわけで選んだのが下の写真のモーターです。このモーターはIFMAR1985で4位に入ったクリス・アレックから譲ってもらったものです。クリスもトリニティのサポートを受けていましたから、これは正真正銘のワークスモーターということになります。エンドベルはもちろんスロットカー用ブラシを使用するモジュラーエンドベル、テープを開封するのがもったいないので分解はしていませんが、当然手巻きローターと思われます。クリスがこのモーターを世界戦で使ったかは定かではありませんが、ヒストリー的には最適なものではないかと思っています。


しかし、世界戦でJrが使用したモーターは、ワークスモーターの中でもダントツによく回っていて、このモーターだけ「BRUTUS」という愛称がついていたそうです。レース後にブルータスはトリニティが持ち帰ったそうなのでその後の行方は不明ですが、どんなモーターだったのか非常に気になりますね。


ボディはボーリンクのファンコ2シーター・ヨコモ、ウイングはMRPのオフロードウイングです。このボディはボーリンク社の廃業時にあるマニアがモールドを譲り受け、レプリカを製作していますのでそれであれば入手は比較的楽かと思います。一方MRPのウイングは大変レアですが、ワンダードッグのものが寸法的にはまったく一緒です。


カラーリングは基本的にすべてタミヤのポリカ用スプレーです。オリジナルのボディは恐らくアンディ・ヤコブセン(Andy'sのオーナー)によるペイントですが、アンディも当時はほとんどタミヤやパクトラのスプレーをそのまま使っていたようなので、だいたい合ってるんじゃないかと思います。黒いグラデーションの部分だけブラックのスプレーの中身をエンジンシンナーで薄めてエアブラシで吹き、メタリックレッドのスプレーを吹いた後にブラックで裏打ちしています。写真を見比べる限りは完璧に再現できてるかと思いますが、どうでしょうか?

Top:Replica Bottom:Original

ステッカーは手に入らないものはイラレでデータを作成してシルクスクリーンで印刷してもらったレプリカです。写真によってはNovakのステッカーも貼ってあったりしますが、それはレース後に貼られたもので、レース中は貼ってなかったはずです。ポンダーを取り付ける穴なども忠実にあけてみました。


そしてプロポはエアトロニクスCS2P。三和マシーン1のUS版です。当然40Mhz版はありませんので、モジュールのみマシーン1のものに替えてあります。アメリカ市場ではプロドライバークラスでないとこんなに高価なプロポは使いませんので、今になって見つけるのもなかなか困難です。ちゃんと動くかはテストしていないので不明。


というわけで足掛け15年くらいかかったプロジェクトですが、ようやく形になりました。いずれバッテリーを使用可能なものに載せ替えて走らせてみたいとも思いますが、今のところは飾って目で楽しんでいます。何しろ長年の夢の実現ですので。ちなみにこのドッグをインスタに載せたところ、同じくAファイナルに残った元RPSスタッフのグレン・グラスがギルJrに知らせてくれ、御本人からフォローされました!これちょっとした自慢です(笑)

No comments:

Post a Comment