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Modified A-main 1st:Gil Losi Jr./Yokomo 834B, 2nd:"Jammin" Jay Halsey/Team Associated Prototype 4X4 |
'85年にカリフォルニア・デルマーのランチピットショップ・オフロードトラックで行われた第一回世界選手権は、僕にとって様々な面での原点です。まず何と言っても衝撃的だったのが、その素晴らしいレース環境と、アメリカ人のセンス。当時の日本はベニヤ板のジャンプ台と鉄パイプの操縦台があるだけのサーキットを、美少女アニメを描いたラジコンが走り回るような状況。まさに雲泥の差です。そしてもちろん、自分が惚れ込んでいたドッグファイターが活躍していたことも、嬉しかったことであり、また意外でもありました。日本ではドッグファイターが主流とは言えなかったし、アメリカはRC10一色だと聞いていましたから。
雑誌の世界戦の記事は、何度も読み返しました。そして徐々に、ラジコンだけでなくファッションやグラフィック、自動車など、すべてのアメリカンカルチャーに惹かれるようになったのです。バギーというカルチャー自体が、ドイツ車のVWを元にカリフォルニアで生まれたものなわけですが、RCバギーのレースもまたカリフォルニアが起源です。'70-80年代のカリフォルニアは、当時からポパイなど日本の様々な雑誌でも紹介されていた通り、本当に輝いていました。その記憶を辿り、当時の雰囲気をRCバギーで表現することが、僕にとって一番の楽しみ方です。
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Ranch Pit Shop off-road track; Del Mar, San Diego, California |
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A main final: Jay Halsey's RC10, Mike Giem's Scorpion, Eustace Moore's RC10 |
2WDの主流は圧倒的にRC10でしたが、京商の代理店だったCOXとレブテックモーターのサポートを受けたマイク・ギームと、デルタのサポートを受けたポール・ディオンがスコーピオンでストッククラスAメインに残りました。RC10が登場する以前の主流だったスコーピオンは、様々なホップアップパーツが開発されており、ミッションをMIPに換装するなどして、1987年頃までアメリカのレースシーンでは見られたようです。ストッククラスのTQはギル・ロッシJrでしたが、ファイナルでは3本ともジェイ・ホールゼイが勝ち、完全優勝を遂げています。
余談になりますが”Halsey”は日本の雑誌だと”ハルゼイ”と書かれることが多いようですが、本来の発音は限りなく”ホールゼイ”に近く、個人的にハルゼイという表記は大変に違和感があるので、ここではホールゼイとさせて頂きます。
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A main final heat2: Jay Halsey reading the race, 2nd Chris Allec and 3rd Paul Dionne |
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A main final, left to right: Losi's Yokomo, Halsey's RC10 4x4, Allec's Hirobo based car |
7セル8.4Vバッテリーを積んだモディファイドクラスは、834B一色という感じでしたが、RC10のデザイナーであるロジャー・カーティスが製作し、ホールゼイがドライブしたプロトタイプ4WDと、クリス・アレックがヒロボー44Bをベースに開発した自作4WD、そしてMIPのケーブルドライブキット”4X”を搭載したRC10が、MIP社長であるユーステス・ムーア自身のドライブでAメインに入りました。優勝はロッシJr、2位はホールゼイ。ファイナル3ヒートはロッシJrが1-5-1、ホールゼイが2-1-2という僅差で、1ミスで順位が逆転するところでしたが、RC10プロトはリアモーターだけに巻き始めると止まらないようで、ホールゼイはかなり苦労していたように見えます。それでも優勝寸前まで行ったのは、やはり当時のホールゼイのドライブがキレていたのと、アソシのNo.1ドライバーゆえに世界最高のパワーユニットを得ていたからでしょう。アソシのNo.1ドライバーに与えられるマッチドバッテリーは、数万本の中から選ばれた奇跡のセルの組み合わせだったと言います。もちろんロッシJrをサポートしていたトリニティも強かったわけですが、会社の規模を考えるとアソシ/リーディには及ばなかったのではと思います。
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Modified class concours |
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Vince Ito's stock class concours winning Scorpion |
日本ではConcours d'Eleganceを短縮してコンデレと呼んでいますが、コンコースは当時のアメリカのレースでは必ず付き物のイベントでした。モディファイドとストック両方で賞を取ったハーブ・ハンスは、「僕はドライバーとしてはトップレベルじゃないから、その分マシンの仕上げで頑張ってるんだよ」と言っていましたが、彼らはただ速さを求めるのではなく、様々な楽しみをそこに見いだしていたように思います。
ストッククラスで賞を取ったCRPのヴィンス・イトウはなかなか多才な人物のようで、この世界戦ではDJも務めていましたし、当時のCRP の広告やレースの告知では、彼のイラストがよく使われていました。日本で言えばテリー佐原さんのような感じ?でしょうかね。
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Stock class A main, left to right: Mike Dunn(10th),Tony Niesinger(3rd),Mike Giem(4th),Gary Kyes(7th),Eustace Moore(5th),Gil Losi Jr.(TQ&2nd),Jay Halsey(1st),Kris Moore(6th),Paul Dionne(8th) |
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Both class winning cars |
いつかレプリカを作りたいと思って部品を集めているものの、なかなか実行していない両優勝車。ホールゼイのRC10は軽量化対策以外ほぼノーマルですが、フロントがプロラインのノビータイヤ、リアがホリデーバギータイヤというのが特徴的です。当時西海岸ではどのトラックでも、2WDはこの組み合わせが主流だったとか。フロントにミリベアリングを使えるよう、5mm径のアクスルが色々なメーカーから発売されていました。しかしこれを真似ても、日本の土にはまったく合わないのが残念です。対してロッシJrの834Bは、基本構成は変わらないものの、信頼性や強度を上げる工夫が色々と施されています。市販のパーツとしてはホットトリックのロアアームやデルタのグラファイトシャシー、ショック、スリッパークラッチなどが目立つところ。タイヤはプロラインの09-834で、これもまた4WDではどのトラックでもこのタイヤが主流だったようです。
When I was 12 years old, I have seen IFMAR 1985 reports on Japanese magazines. It was stunning. Really stunning. Since then, I was going to be interested in American culture not only RC but also Fashion, Car, Graphics etc. The scene of California in 1970s-1980s was so sweet, and highly modified off-road racers were so cool. And so, now I'm making vintage RC buggy to feel good sweet back in the day...